社会人からの異分野大学院進学〜修士〜

大学院で数学をしています.

M1のふり返り

はじめに

お久しぶりです.s.shimoです.
そろそろ修士1年が終わるので,この1年間の数学との思い出をざっくばらんに振り返ろうと思います.
内容は僕の思い出話なので,気楽な気持ちで読んでいただけたらと思います.
大きく以下の事について書きます:

  1. 勉強の仕方とセミナーの準備
  2. 大学の授業について
  3. 初のワークショップ参加
  4. 最後に:M2に向けての抱負

勉強の仕方とセミナーの準備

取り組んでいる本の読み方およびセミナーの準備の仕方は,以下の前期の振り返りブログに書いた内容とほとんど変わっていません.

前期の振り返り〜M1編〜 - 社会人からの異分野大学院進学〜修士〜

そう考えると,これらの取り組み方は前期である程度確立されてたのだなぁと感じます. ただ,細かい部分はアップデート?されています.
例えば,

  • 前期よりも命題やその証明のどの部分がポイントかを強調して発表するようになった(気がする)
  • セミナー練習において,前期は毎回練習のたびにipadに板書を完全に書いて練習していたが最近は練習後半は空で(頭の中で)思い浮かべながら行っている(これは単に労力を減らしているだけです...)

などです.
1つ大きく変わった点は,次のルールを設定したことです:

どんな命題を立てればいいか分からなかったり命題の証明が思い浮かばなかったりした時に,最低でも1週間は何も見ずに自分で考え抜く.1週間経って少しも進捗がなかったら,何か資料を参照する.

前期のブログを書いた段階では,長くても2~3日程度しか考え抜いてなかったので,自分で考える時間をより多めにすることを意識し実行しています.
なぜこのようにしたのかは,僕が考えている数学への向き合い方と関係があります.
僕は数学をガッツリ勉強し始めたのが2年半前ぐらいなので,知識は圧倒的に少ないです(全国の数学大学院生の中で一番知識がない自信があります!笑).
今から知識を増やそうと思っても,時間的に多分厳しいだろうなとも思っています.
そこで,知識は少ないけど新しい概念に遭遇した際に「あ,これはこう言うことがやりたいから,だったらこう言う風に考えれば大体こんな感じでいけそう」と言うようなその概念のお気持ちというかモチベーションというかをキャッチして自分なりに思考できる そういうメタ的な能力を伸ばそうと考えています.
そして,このような能力は1つの物事を多角的に見たり自分なりに考える練習をすることで養われるかなと考えているので,上で述べたように1週間じっくりといろんな角度から観察することを意識して実行しているわけです.
また僕はこれまで機械学習の研究をやってきて「知識はあるけど研究ができない」という状態を1年半ぐらい経験してきており,その状態を脱却したきっかけも知識量ではなく「1つの物事を多角的に見て深く観察する」ことでした.
なので,僕にとっては,知識量を増やすことよりも物事の解像度を上げる力を伸ばしたほうが合っているのではないかなと考えていて,これも上で述べた取り組み方をしている理由になります.

大学の授業について

前期に引き続き,リーマン幾何の講義を取りました(担当の先生は違う先生です).
その講義では,主に,リーマン多様体上のラプラシアンの自己共役生について学びました.
講義担当の先生が最初の授業で「この講義はインタラクティブな感じでやりたいから,授業中にどんどん質問してください」とおっしゃってくださりました.
そこで「せっかく授業料払ってるから講義を自分事化しちゃお」と思い,授業中に分からないことや板書でミスかな?と思ったことは積極的に聞いていました.
そうこうしていると,先生と段々とコミュニケーションが増えてきて,ランチに誘われるようになりました.
ランチメンバーは先生,その先生の指導を受けている学部生の方2名,その他数学系の先生方がいる場合もある といった感じで毎週行っていました.
色んな方と話せて楽しかったですし大変勉強になりました.また,これぞ大学っぽいというイベントだったので嬉しかったです.
学生方は数学を応用する事にも興味を持っているようで,僕がこれまで学んできた機械学習やプログラミングなどのお話をさせて頂いたりもしています.
僕のこれまでの経験が誰かの役に立っているかもと思うと嬉しいです.
実は,このご縁から,先生にお声がけ頂いてある事に参加予定なのですが,こちらはまたそのうち報告させていただこうと思います.
そんなこんなで,1つの授業から素敵なご縁が続いていて,有難い限りです.

初のワークショップ参加

研究室の同期の方がmagnitudeのワークショップで発表をするということで,僕は聴講者として一緒に参加させてもらいました.
数学のこういう会に参加するのが初めてだったので,色々な方からmagnitudeについてもそうですし他の数学の内容についてもお話を聞くことができてとても勉強になりました.
また,開催場所の大学は僕が研究室訪問させていただいた先生がいらっしゃる大学でその先生もそのワークショップに参加されていて改めてご挨拶することもできました.
(その大学は試験範囲の勉強が間に合わずに受験できなかったのですが...)
ワークショップに参加して色々学べましたが,1つ大きく学んだこととして,ワークショップ開催期間中は自分の勉強をする時間を確保しづらいという点があります.
僕はまだ修士の学生なのでそう感じるのかもしれません.
ですので,修士の間は自分の勉強を優先しても良さそうだなと思いました.

最後に:M2に向けての抱負

さて,次の4月からM2になります.
指導教員からは「修士のうちが一番勉強時間を確保できます」というアドバイスをもらっており,僕もそんな感じがしております.
広中先生の著書「学問の発見」において,キノコのお話があったと記憶しております(間違っていたら本当にすみません🙇‍♂️半年前ぐらいに読んだので記憶がだいぶ曖昧です).
そこでは,確か,「キノコは地中に菌糸を張り巡らせる.張り巡らせる量が少ない状態で上に成長しようとすると途中で成長限界がきてしまう.一方で,ずっと張り巡らせるだけで上に伸びようとしないといつまでも地上に出てこれない」こんな感じのことが書かれていたと思います.
僕にとっての修士課程はこのキノコの地中に菌糸を張り巡らせている段階だと思っています.
ですので,修士課程でちゃんと勉強できるか(=菌糸をしっかり地中に張り巡らせられるか)が今後に大きく影響しそうだなと感じています.
入学前と比べて,本の読み方が分かってきたりセミナーのやり方が分かってきたり,少しずつ見える景色が鮮明になってきた反面,気が緩みやすくもあるかなと思います.
ですので,M2は博士課程を含めた大学院生活において沢山勉強できる最後の一年だという気持ちを持って,M1の時以上に数学に打ち込んでいきます.

最後まで読んでいただきありがとうございました!
どこか1つでも面白いなと思ってもらえる内容があったなら嬉しいです.